さる8/22(木)、稲葉氏によるブータンの有機農業に関する講演会を行いました。稲葉氏はJICAによるブータンへの3年間の有機農業の技術支援の専門家として派遣されてきて、今年がそのプロジェクトの最終年ということで総括的なお話をいただきました。
その中でブータンが有機農業100%を実現するために、特に、以下の3つの課題を挙げ、それぞれについてどう乗り越えてきた(または、今でも乗り越えようとしている)かについてお話いただきました。
①除草剤を使わないイネ作り。➁収穫量1.5倍のイネ作り。③循環型有機農業による自給率向上と地域創生。
①については、ブータンはそもそも敬虔な仏教国であり、殺虫剤の使用についてはもともと強い抵抗感があり、外国を通じて配られた殺虫剤もほとんど使用されなかった過去があるとのことでした。逆に、除草剤の使用量が増えていき、2011年からさかのぼって10年くらいは使用される農薬の大半は除草剤で、その量が年々が増加の一途をたどっていました。そこで稲葉さんは、雑草の発芽条件や生育条件に応じた抑草技術をブータンに紹介し、試験圃場では抑草できた様子が紹介をしていただきました。
➁については、従来からブータンでは陸稲の赤米を栽培していて、収量は多くなかったとのこと。日本のササニシキを持っていき、一本苗で植え、収穫量は場所によっては籾で反当り700㎏を超えたとのこと。昼夜の寒暖差や有機肥料の土壌中の細菌の増加が原因ではないかとのことでした。
➂は、大豆→小麦→イネの輪作を成功させ、大豆を絞った脱脂大豆、大豆粕を肥料に使う循環型農業も実現ができ、地域でそれを使った加工品のトライアルも進んでいるようです。電圧の違いで大豆を絞る機械が壊れた際のブータン側の方のエピソードも面白く、「幸福」の国 ブータンらしく苦労も笑顔に変えて取り組まれているようでした。
ただし、今年でプロジェクトが一度、終わると言っても、まだ継続的に支援する必要性は感じていらっしゃるようです。政府関係者だけでなく人々のなかでうまく広がっていってくれればいいなと思いました。そのためにも稲葉さんのような方の力はまだまだ必要なんだろうなと思わされました。
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