スリランカが有機100%を目指すことを宣言

今年4月スリランカの大統領が、化学肥料の輸入を止めることを宣言し、スリランカが農業全体を有機にシフトしていくことになりました。背景としては、消費者の健康を守る意図のほか、化学肥料の輸入による財政の圧迫があったようです。

ブータンやキルギスで100%有機を目指すことを宣言しました。インドのシッキム州も同様です。それぞれ国の事情がありながら、有機農業に未来を見出そうとしているように見えます。

今秋のIFOAM総会はオンライン

本年9月にフランスのレンヌで行われる予定だったIFOAM-Organics Internationalの総会は、9/13、14にオンラインで行われることになりました。

https://www.ifoam.bio/about-us/our-network/general-assembly/general-assembly-2021

その前に行われる予定のOrganic World Conference (有機農業の世界大会)は、現在のところ、オンラインで行う予定ですが、状況を見て、現地で参加することが可能なイベントになる可能性もあるとのことです。

https://owc.ifoam.bio/2021/en

The World of Organic Agriculture 2021

スイスの有機農業研究機関FiblとIFOAM-Organics Internationalとは2月17日に年次報告「The World of Organic Agriculture 2021」を発表しました。これは2019年末の統計をまとめ、解説を加えたものです。

主な内容

・世界全体の有機認証圃場の面積は2018年末の7150万haから7228万haへ増加した。有機圃場の面積は、1999年の面積から約20年で約6.5倍になった。

・アジアの有機圃場の面積は減少したが、これは中国(314万→222万)の有機圃場の面積が大きく減少したことによる。タイやベトナムなど中国ほどの規模ではないが面積が増加した国々もあった。

・世界の有機飲食品市場は、€1064億でした。2019年12月31日時のレート€1=122円を適用すると、約13.0兆円でした。ユーロで換算すると、前年比約10%の増加になった。

2021年版リンク(英文)

https://www.fibl.org/fileadmin/documents/shop/1150-organic-world-2021.pdf

今年の版のデータは多くが2019年末以前のもので、2020年以降のCOVID-19感染拡大時のデータはまだありませんが、いくつか箇所で感染拡大で見えてきた兆候や今後の流れについても言及しています。これらについても、今後紹介していきたいです。

9/29 有機農業と地域振興を考える自治体ネットワーク シンポジウム(農水省)

有機農業と地域振興を考える自治体ネットワークのシンポジウムが9/29(火)13:30~15:30に開かれます。今回は耕作放棄地を利用した有機農業の拡大についてです。ZOOMを使いオンラインで行われます。事前に申し込みが必要で、先着100名までが視聴が可能なのでご注意ください。

詳細は下記のURLをご覧ください。

https://www.maff.go.jp/j/press/seisan/kankyo/200908.html

参考までに、日本の耕作放棄地は2015年の農林業センサスで38.6万haで、1980年以降ずっと増加しています。

https://www.maff.go.jp/j/study/nouti_seisaku/senmon_04/pdf/data6.pdf

5年毎に行う2020年の農林業センサスが今年行われたところで、今後、現在の日本の耕作放棄地の面積がわかります。

https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2020/index.html

2020年IFOAM OWC延期&Digital Forum 「Food Without Farmers」

2020年9月にフランス レンヌで予定していたIFOAM OWC(Organic World Congress:有機農業大会)は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で2021年9月8-9日、事前の会議は6-7日に延期されました。

https://www.ifoam.bio/en/news/2020/04/16/new-dates-organic-world-congress-2021

一方でIFOAM-Organics Internationalは、4月23日に「Food Without Farmers(生産者が不在の食品)」というタイトルでオンラインフォーラムを行います。農業による環境負荷を避ける新たなモデルとして食品が人工的に作られる兆候があるとして、そのようななかで持続な可能な農業について再考するフォーラムです。

事前登録が必要です。詳細はこちら。https://events.globallandscapesforum.org/digital-forum-food-without-farmers/

The World of Organic Agriculture 2020

2020年2月12日、FiBLとIFOAMは世界の農業の動向についての最新の年鑑「The World of Organic Agriculture 2020」を発表しました。内容は2018年末のデータをもとにまとめられています。

主な内容

  • 世界の有機圃場の面積は前年(2017年末)から200万ha(前年の2.9%)増加し、7150万haになりました。世界の農地の1.5%に当たります(前年は1.4%)。増加した200万haは、日本の全ての耕地面積を田んぼと畑で分けると、畑の面積に当たります。
  • 世界の有機飲食品市場は、€966.8億でした。2018年当時の€のレートが、130円前後で推移していたので、€1=130円とすると、12.6兆円になります。ユーロ換算で、前年の€920.7億から約5%の伸びです。

URL:https://www.fibl.org/fileadmin/documents/shop/5011-organic-world-2020.pdf

(リンク切れを修正しました)

8/22 ブータン講演会

さる8/22(木)、稲葉氏によるブータンの有機農業に関する講演会を行いました。稲葉氏はJICAによるブータンへの3年間の有機農業の技術支援の専門家として派遣されてきて、今年がそのプロジェクトの最終年ということで総括的なお話をいただきました。

その中でブータンが有機農業100%を実現するために、特に、以下の3つの課題を挙げ、それぞれについてどう乗り越えてきた(または、今でも乗り越えようとしている)かについてお話いただきました。

①除草剤を使わないイネ作り。➁収穫量1.5倍のイネ作り。③循環型有機農業による自給率向上と地域創生。

①については、ブータンはそもそも敬虔な仏教国であり、殺虫剤の使用についてはもともと強い抵抗感があり、外国を通じて配られた殺虫剤もほとんど使用されなかった過去があるとのことでした。逆に、除草剤の使用量が増えていき、2011年からさかのぼって10年くらいは使用される農薬の大半は除草剤で、その量が年々が増加の一途をたどっていました。そこで稲葉さんは、雑草の発芽条件や生育条件に応じた抑草技術をブータンに紹介し、試験圃場では抑草できた様子が紹介をしていただきました。

➁については、従来からブータンでは陸稲の赤米を栽培していて、収量は多くなかったとのこと。日本のササニシキを持っていき、一本苗で植え、収穫量は場所によっては籾で反当り700㎏を超えたとのこと。昼夜の寒暖差や有機肥料の土壌中の細菌の増加が原因ではないかとのことでした。

➂は、大豆→小麦→イネの輪作を成功させ、大豆を絞った脱脂大豆、大豆粕を肥料に使う循環型農業も実現ができ、地域でそれを使った加工品のトライアルも進んでいるようです。電圧の違いで大豆を絞る機械が壊れた際のブータン側の方のエピソードも面白く、「幸福」の国 ブータンらしく苦労も笑顔に変えて取り組まれているようでした。

ただし、今年でプロジェクトが一度、終わると言っても、まだ継続的に支援する必要性は感じていらっしゃるようです。政府関係者だけでなく人々のなかでうまく広がっていってくれればいいなと思いました。そのためにも稲葉さんのような方の力はまだまだ必要なんだろうなと思わされました。


講演のご案内[8/22(木)]

IFOAMジャパンでは、8/22(木)に「生き物とともに暮らす幸せの国-ブータン王国の有機農業100%への挑戦」と題し、NPO法人民間稲作研究所の稲葉光國氏をお招きして、ご講演をしていただきます。ご聴講をご希望する方は、ご連絡ください。

ブータンは2012年に国全体の農業を有機農業に転換することを宣言し、以来、様々な試みが行われてきました。稲葉氏は抑草技術や安定多収技術の指導依頼を受け、現地で活躍されています。そのブータンの有機農業の現状について、お話しいただきます。

場所:中央区立環境情報センター

東京都中央区京橋三丁目1番1号 東京スクエアガーデン6階

アクセス:銀座線 京橋駅の3番出口に直結。その他のアクセスについては、http://tokyo-sg.com/access/を御覧ください。

日時:2019年8月22日(木)15:30~16:45

費用:無料 (定員45名)

聴講ご希望の方は、お名前、連絡先を事務局までご連絡下さい。

E-mail  organic@ifoam-japan.net    FAX  03-5400-2273

チラシはこちらからダウンロードしてください。

セミナーのご案内[7/2 (火)]

伊能まゆさんを囲んで下記のとおりセミナーを実施します。ご興味がある方は是非ご連絡ください。

1. 日時  2019年7月2日(火)14:00~17:00

2. 会場  パルシステム連合会 2階会議室

1698527東京都新宿区大久保2丁目2-6ラクアス東新宿

【最寄駅】東新宿駅/新大久保駅

【交通案内】東京メトロ副都心線・都営大江戸線東新宿駅 3分

JR山手線新大久保徒歩10分

3. 目的   最新のIFOAMとFiblが共著するデータによると、日本の全耕地面積に占める有機耕地の割合は0.25%であるのに対し、フィリピン:1.6%、韓国:1.2%、インド:1.0%、中国:0.6%、ベトナム:0.5%となっており、日本は大きく後れをとっています。

アジア地域ではここ数年有機農業が急速に伸びており、また政府だけではなく、民間の活動も多く見ることができます。

IFOAM本部が提唱するOrganic 3.0にもありますが、認証を取得している有機だけでなく、有機にも含まれる側面であるパーマカルチャー、アグロエコロジーなどの観点からも有機の世界を見ていく、広げていくという活動も必要になると考えています。今回は短い期間で来日する伊能さんを迎えて、様々な情報交換、意見交換などの場を持ちたいと考えています。

4. 講師:伊能 まゆ

JVC(Japan Volunteer Center)にて調査員、通訳・翻訳者として開発事業を補佐。その後ベトナム事務所の代表を務める。ベトナム・ハノイにて、任意団体のSeed to Tableを設立。持続的な地域発展、有機農業などの普及に尽力。インドの有機農業団体との交流も深める。

5. 参加費 無料

※参加をご希望される方は、お名前、連絡先を事務局までご連絡下さい。

E-mail organic@ifoam-japan.net、FAX 03-5400-2273

参考:Seed to TableHP